Plan 9とGo言語のブログ

主にPlan 9やGo言語の日々気づいたことを書きます。

Plan 9の権利がPlan 9財団に譲渡され、MITライセンスに変わりました

2021年3月23日に、ノキアから、Plan 9著作権Plan 9財団に譲渡する発表がありました。

www.bell-labs.com

翻訳はこちら。

okuranagaimo.blogspot.com

元々、AT&Tの一部門が独立してLucent Technologiesとなっていて、ベル研はそこに含まれていたけれども、いつの間にかノキアに買収されていたらしいですね。

何が変わったのか

以前のPlan 9はLucent Public License 1.02*1でライセンスされ、ベル研(plan9.bell-labs.com)により配布されていました。ユーザーはreplicaコマンドを使ってベル研の中央サーバからアップデートを取得し、必要ならサーバへパッチを送ることが行われていましたが、2015年1月を最後に、Plan 9のメンテナンスを行う人がいなくなり、しばらくしてからは*2ベル研のサービス自体も参照ができなくなっていました。

代わりに、0introさんにより9p.ioでplan9.bell-labs.comのミラーが提供されるようになり、今ではドキュメントの参照など基本的にこちらが使われるようになっています。他に、9legacyというパッチ集や9frontといったフォークが派生して今もそれぞれ活動していますが、9p.ioが配布する公式のソースコード自体は2015年のものから変わっていませんでした。余談ですがGoがサポートしているPlan 9は9legacyのことです。Go DashboardPlan 9イメージは9legacyの最新版を参照しています。

このように、ここ数年は残念な状況でしたが、今回の譲渡でPlan 9の権利はPlan 9財団へ譲渡されて、Foundation Activitiesによると9legacyのパッチが本家に取り込まれる告知が出ていました。

Preparing for a new release, including patches.

今後の運用がどうなるのかはわかりませんが、Goもplan9portもGitHubで運用されているので、Plan 9もそうなったら嬉しいですね。

Plan 9財団

Plan 9財団は2021年2月に、9fansでアナウンスされました。Plan 9界隈でよく名前を聞く人がメンバーになっています。

9fansでのアナウンス

Twitterアカウントはこちら

この財団は、現状ではPlan 9本体(従来はオープンではなかった1st〜3rd editionも公開されている!)のホストと、GSoCへの参加などを行なっているようです。Activityを見る限りでは2020年から活動していたようですが、まあ、2020年のメールにある署名は強い....

Forkはどうなるか

ここは完全に推測ですが、少なくとも9legacyのパッチは取り込まれることが告知されているので、9legacyは本家Plan 9に統合されそうです。9frontは、部分的にはバックポートされるかもしれないけれども、実装的にも思想的にもベル研Plan 9との差が大きくて、完全なマージは無理じゃないかな、と思っています。とはいえ9frontの方が進んでいるのは事実なので、前衛的な9frontと慎重な本家に分かれるんじゃないかな。plan9portは、以前rscさんが9fans/plan9port

Sorry, but plan9port is only aiming for compatibility with the original Plan 9, not the many forks.

と言っていたけど実際はいくつか拡張されているので、互換性を維持しながら変化していくかもしれません。Raspberry Piへの移植(9pi)は分からないけれど、これは9legacyに近いものなので、millerさんが望めばマージされるかもですね。

*1:SCOのゴタゴタがあってアップデートされた記憶がある

*2:2017年頃かな